こちらは、今朝静岡県のお客様から頂いた屋根裏(小屋裏)の写真。
グラスウールの断熱材がその重さに耐えかねて、至る処屋根から脱落しています。(屋根組みを支える柱も、取って付けたようでいい加減な施工ですが・・)
お客様曰く、屋根に張ってある野地合板とグラスウールとの間に手を入れてみたら、合板が濡れて結露を起こしているそうです。当然、このまま放置すれば、合板はカビなどで黒く変色してそのうち腐ってくるでしょう。
また、ガラス繊維で出来たグラスウールは、水分や湿気が付くと断熱性能が極端に落ちてしまいますから、その周囲をビニールの防湿シートで完全に覆わなければなりませんが、カットされた断熱材がむき出しのまま施工された形です。
これでは、断熱材としての役割が十分果たせないばかりか、水分や湿気が表面に付着して重さが増してしまいます。その重量増に耐えかねて、グラスウールが下の床に落ちてしまったものと思われます。
こういう場合、断熱を屋根断熱から天井断熱にすれば直るという間違った提案をする業者もいるようですが、残念ながら、天井断熱にしても全く意味はありません。それは、断熱する位置が変わるだけで、原因を解決していないからです。
まずは、換気棟の設置をすることです。それで、居住空間から昇ってくるたくさんの温かい湿気を棟から逃がすことが可能となります。次に、野地板の内側に通気の為のスペーサーを付けることをお勧めします。
こうすることで、野地板と断熱材との間に通気層を確保し、ビニールの防湿シートと野地板とが直接触る状況を回避出来ます。(人間でも直接肌にビニールを張り付けると、中で汗をかいて気持ちが悪いですよね。そうなることをなくすのです)
勿論、グラスウールをそのまま使うのであれば、剥き出しになった断熱材をビニールの袋に入れるなどして密閉しなければなりません。
私としては、出来れば断熱材を無機系のグラスウールやロックウールから呼吸作用のある天然の羊毛やセルロースといった自然素材に変えると更に安心出来ると考えます。
湿気の多い梅雨の季節や室内を加湿する冬場に、皆さんも一度屋根裏の状態を点検しては如何でしょうか。屋根裏結露の問題を抱えている日本の住宅は、80%以上あると思いますよ(多くの皆さんは、点検していないので知らないだけです)
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<関連資料>: 「断熱施工の見えないリスク」【PDF】 (2008年11月発刊 日経ホームビルダー)
<関連記事>: 屋根裏及び屋根裏部屋の結露対策(1) (2007年9月1日)
<関連記事>: 冬場を前に屋根裏を点検しましょう! (2014年10月20日)
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